現役高校生への警鐘 −現行指導要綱の問題点−
高2,高3は『超詰め込み教育』
2003年4月から学習指導要綱が大きく変わりました。
「ゆとり」という名の下に,『授業時間数の削減』や,それまで小学校で学習していた内容を中学に,中学で学習していた内容を高校にという『学習の先送り』が実施されました。特に数学・理科についての変更は著しいものがありました。
この学習課程で学んできた(特に公立)高校生の皆さんへの警鐘がこの文章の目的です。
以下簡単のため,それ以前の指導要綱を「旧課程」,現行の指導要綱を「新課程」と呼ぶことにします。
さて,私達は学習塾において長く現役公立高校生・私立高校生を中心に受験指導をしてきました。 我々だけでなく,多くの指導者は「新課程生はヤバイ!彼・彼女達は気付いているのだろうか?」と憂慮しています。
有識者と呼ばれる人達から『詰め込み教育』と評された旧課程・旧旧課程の反省から実施された『ゆとり教育』ですが, 小学・中学・高校を通して学習する内容の総量に旧課程も新課程もさほど大きな違いはありません。つまり高校を卒業した時点でそれまで学校で教わった内容は旧・新課程ともほぼ同じです。
では,どこが『ゆとり』なのかというと,小学校〜高校1年までが『ゆとり』なのです。
先に「高校卒業までの総学習内容は変わっていない」と書きました。
新課程とは,小学〜高1までの学習量を少なくしてゆとりをもたせ,その『ツケ』を 高校2,3年での『超詰め込み教育』によって支払わねばならない課程なのです。
総学習内容が同じならば,皆さんは旧課程で学習した人達と同じ教育を受けたことになるのでしょうか?
『学習』とは学び習得することです。「適切な時期に適切な内容を学習する」ことが重要です。
年齢とともに,より高度な事柄を理解し,学べるようになるのは当然です。しかし,それらを自分の血肉として確実に定着させる『習得力(学習力)』は単に年齢を重ねたからといって向上するものではなく,それまでの学習量,学習したという経験,学習時の集中力,学習に対する努力などによって培われるものなのではないでしょうか?
皆さんは小中の9年間,旧課程の生徒より学習した内容が少ないこともさることながら,授業時間の減少に伴い「習得力(学習力)を鍛える機会を十分に与えてもらえなかった」のです!
私達が言う「新課程生はヤバイ」というのは,まさにこの点「本来その学年で持っているべき習得力を培う機会を奪われている」という意味です。
現行の「ゆとり」教育は,
『小学校から高校1年まで習得力(学習力)を鍛える機会を十分に与えずに,高校2・3年では旧課程以上の習得力を要求する』
という大きな矛盾を内に含んだ『子供達の正常な知的成長を奪う教育課程』なのです。
(もちろん,文科省の言い分は百も承知ですが,このように考えている学習指導者がいることも知っておいて欲しいのです。)
皆さんは学習する機会を奪われてきたのです。
高校内容の学習に耐えられる基礎学力を持ち合わせず,また,学習に対する習得力を育てる機会にも恵まれずに高校に入学した皆さんは,「高校入学時点ですでに高校の勉強に落ちこぼれている」と言っても良いくらいなのです。
私達は決して皆さんを卑下しているわけではありません。私達は,
ゆとり教育の弊害を当事者である皆さんに知っておいて欲しい。そして,一刻も早く対策を講じて欲しい。
と願い,微力ながらもそのお手伝いができればと,このサイトを運営しています。
話を大学入試に移しましょう。
皆さんの通われている高校の過去の進学実績をご覧になった事はあるでしょうか?「進路の手引き」などに載っていると思います。これを機会にもう一度見てみてください。
現役でご自分の志望している大学に通った人数は驚くほど少ないのではないでしょうか?
大学全入時代という言葉に騙されてはいけません。大学全入時代とは,一部の難関大を除き、「大卒」に価値がなくなるということです。 今までのような、難関大〜中堅大〜Fランク大というような連続した大学の序列はなくなっていきます。勉強なんてしなくてもいける大学と、生半可な勉強では合格できない難関大学との2極分化が数年前から加速度的に進行しています。中途半端な勉強では、難関大入試には対応できない時代を迎えたということなのです。
もちろん,通っている高校によって進学可能な大学が決まるわけではありません。要は本人の努力次第です。 ただ,これだけははっきりしています。
現行指導要領の学習カリキュラム・進度は難関大を志望するには不適当である
特に数学・理科については現行カリキュラムに従っていては難関大どころか教科書内容の理解すらおぼつきません。加えて,物理・化学においては,I と II の学習内容の区分けが,その科目の本質理解を妨げるような滅茶苦茶な配列になっています。
指導要領なんて教える側の都合です。
小学2年生の“翔くん”が提出物に自分の名前を漢字で書いたら,わざわざ先生が消しゴムで消してひらがなに直したそうです。小学2年生では教えてはいけないという理由からです。これのどこが教育なのでしょう?
中学で1次不等式やイオンを教わらないなんて,私達に言わせれば翔君問題と同じです。
'07/3月の国会で,教育基本法を改正することが可決されました。総理は「早急にゆとり教育を見直す必要がある」と公言しました。国がゆとり教育は間違っていたと認めたのです。そんな指導要綱でこれからも学習せざるを得ない皆さんは怒っていいと思います。
と。 しかし,ただ怒るだけでは何も先に進みません。体制が変わるまで高校生をするわけにはいきませんしね。 学習する機会を奪われたのであれば,自分の手に取り戻しましょう! 学習する権利まで奪われたわけではありません。それには自分の意志でもって勉強を始めるしかありません。
自分の将来を自分で考え,そのために必要となるものを他人から与えられるのではなく,自分で手に入れ,自分で計画を立て,自分で達成できる,というような人こそがこれからの社会が最も必要とする人間像なのではないかと思います。
学校進度にしたがっていてはダメなのです。
周りの友達と同じ調子で勉強していては難関大には行けないのです。
勉強は自分でするものであり,先生から与えられるものではないのです。